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2011/1/7
2011年
ここでブログ回帰ってのもいいんじゃないか??なんてね
カズオ・イシグロ
今年の春頃にカズオ・イシグロ著の『わたしを離さないで(2005)』を読みました。梅田望夫さんのブログで紹介されてたこともあってこの本を読んでみたんですが、まさに衝撃。自分がこれまで読んできた本の中ではベストに近いとも思えました(といってもそんなに読書してないんですがね)。断片的な記憶群によって、ある人生の全体像がおぼろげながら徐々に明らかになっていく、そして最後に判明する真実。読み終えて、直ちに最初のページから読み直してみた本はこの本が初めてでした。
色々と書評を見て回るうちに、「曖昧な記憶(信頼の置けない語り手)」をもとにある人物の人生が語られていく、という型はカズオ・イシグロのスタイルであることが分かりました。

今月になって『わたしたちが孤児だったころ(2000)』を読みました。『わたしを離さないで』の前作でして、同様に記憶を辿りながらストーリーが進んでいくものです。『わたしを離さないで』のような衝撃は受けなかったものの、読んだ後に深い余韻が残る本、ということでは同じでした。

カズオ・イシグロが「記憶」を重要視していることは、ネット上にあった彼のインタビューからもよく分かります。彼自身の生い立ち(日本をルーツにする)から、このスタイルは生まれたんですね。インタビューからちょっと引用させてもらいます↓

「・・・なぜ私が小説を書いていたのか考えたとき、ある種の個人的な日本というものをフィクションの世界のなかにとどめようとしていたことに気づきました。それは私の頭のなかに作り上げられた日本でした。私の人生の最初の5年間で覚えていたことから、巨大な記憶が作り上げられました。なぜなら、これらの記憶は、私がイギリスで成長するうちに見たり読んだりしたものと混ざり合っていったからです。つまり、最初の小説で私が試みたのは、私が記憶と想像力で作り上げた日本というものをそこにとどめることだったのです・・・」

ふと、自分のことを考えてみると、気付いたことがありました。オシムにしろ、カズオ・イシグロにしろ、「日本or日本人」を熱心かつ客観的に見れる人の言葉に対して、自分は強い興味を持つんだな、という点です。確かに、シリコンバレーにいる梅田望夫も、英米に留学している時の藤原正彦さんも当てはまってるな。梅田さんの言葉を借りれば、これも自分の中の一つのロールモデルになりそうですね。
by to-_go | 2007-11-24 23:04 | ALL-ROUND
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